特別展
SPECIAL
雪村
-常陸に生まれし遊歴の画僧-
会期2025年2月15日(土)~4月6日(日)
前期:2月15日(土)~ 3月9日(日) /後期:3月11日(火)~ 4月6日(日)
戦国時代を代表する水墨画家・雪村周継(せっそんしゅうけい)は、常陸国(現茨城県の一部)に生まれたとされます。後半生には小田原や鎌倉を訪れて画才を磨き、晩年は会津や三春を往来しながら数多くの傑作を生み出しました。
彼は、絶え間ない戦乱の時代に、京都から遠く離れた東国で活動し、独自の画境を切り開きました。それは雪舟のように中国に渡ることはなく、武家の出自を負った画僧として山野を遊歴して培われたものです。半生を過ごした常陸の地をはじめとして、東国の風土や文化的土壌が雪村の画業や人格の形成に大きな影響を与えたと考えられます。
本特別展では、今なお国境をも越えて広く人々を魅了する雪村の名品を一堂に会し、飄々とした筆致が描き出す水墨画の世界をご覧いただきます。
出陳リスト
公開までお待ちください。
みどころ
みどころ1
茨城県にて33年ぶり!生まれ故郷へ作品が里帰り
当館では、展示室増築に伴う新規開館記念として、1992年に特別展「雪村 ー常陸からの出発ー」を開催しました。それから時を経て開館50周年を記念する本年度、33年ぶりに雪村展を開催いたします。雪村の生まれ故郷である茨城の地に多くの作品が里帰りし、《陶淵明図》(個人)や《月夜独釣図》(旧ピーター・ドラッガーコレクション)といった常陸で活動していた初期の名品を県内で初公開します。
みどころ2
約110件が一堂に!名品揃いの雪村展
雪村、ならびに雪村の影響を受けた絵師たちの作品約110件が一堂に会します。《自画像》(奈良・大和文華館)や《風濤図》(京都・野村美術館)といった雪村を代表する数々の名品の他、《龐婆霊照女図》(個人)や《巌図》(個人)といった本展覧会で初めて一般に公開される新出作品も展示されます。雪村をよく知る人も、初めて見る人も楽しめる展覧会となっています。
みどころ3
本物そっくり!クローン文化財の成果を初公開
令和元年から同2年にかけて、東京藝術大学、アメリカ・フリーア美術館が所属するスミソニアン協会、当館の三者で、《寿老人図》(フリーア美術館)と《猿猴図》(当館)のクローン文化財・スーパークローン文化財の製作を行ってきました。クローン文化財とは、文化財の現状のあるがままの姿を、質感まで高精細かつ忠実に再現したものであり、スーパークローン文化財とは、劣化や欠損への想定による補完を含め、可能な限り過去の状況を研究し、復元したものです。このことにより、門外不出と言われるフリーア美術館の作品と極めて近い複製画が当館で鑑賞できるようになりました。本展では、この事業で製作された《寿老人図》《猿猴図》のクローン文化財、ならびに《寿老人図》のスーパークローン文化財を初めて当館で公開します。
展示構成
第1章常陸からの旅立ち
雪村は、佐竹氏の一族として常陸国部垂(現在の茨城県常陸大宮市)に生まれたとされます。80歳代半ばまで生きた雪村は、50歳代過ぎ、すなわちその生涯の大半を当地で過ごし、絵の制作にあたっています。佐竹家伝来の《風濤図》(京都・野村美術館)や《葛花、竹に蟹図》(群馬県立美術館 戸方庵井上コレクション)といった常陸時代の名品を展観します 。
第2章禅僧としての画業
雪村は、禅僧でありながら絵を描く画僧でした。彼の作品の中には、景初周随 (けいしょしゅうずい)や策彦周良(さくげんしゅうりょう)といった禅僧の賛が付されたものもあり、京都や鎌倉の五山僧と繋がりがあったことが確認できます。こうした禅僧との交流は、寺院に所蔵されていた古画を実見し、画才を磨くことにも役立ったと見られます。ここでは、雪村が晩年に描いた《自画像》(大和文華館)や《渡唐天神図》(茨城県立歴史館)から、禅僧としての画業について見ていきます。
第3章山水の筆様
雪村は、佐竹氏や蘆名氏、北条氏といった戦国大名のもとで、古典となる中国南宋時代の牧谿(もっけい)や玉澗(ぎょくかん)といった画家たちの様式を学び、自己の画風に受容していったとみられます。本章では、《四季山水図屏風》(郡山市立美術館)や最晩年の《瀟湘八景図屏風》(個人)などから、雪村の山水画における筆様の展開を探っていきます。
第4章花鳥・草虫へのまなざし
雪村の作品には、花や鳥、あるいは野菜や昆虫を描いた作品が多く残されています。ここには中国や朝鮮の古画を参考にして描いた作例もある一方、関東各地を遊歴し、山河を歩く中で培われたであろう自然への鋭いまなざしが活かされたものもあります。本章では多彩なる墨の濃淡、繊細な筆致が画面上に描き出す生命のかたちを見ていきます。
第5章人物・動物の躍動
雪村の特徴がより示されるのは、大胆な筆致で描かれた人物画です。風を受けて翻るうねりのある衣文、奇怪さを伴う面貌表現は画面に躍動感を与え、描かれた人物の魅力を引き出します。ダイナミックに力強さをあらわした《鐘馗図》(個人)や愛嬌ある顔つきで描かれた《欠伸布袋図・紅白梅図》(茨城県立歴史館)などから、雪村画の真骨頂をご覧いただきます。
第6章雪村に学びて
江戸時代の画史類には、雪村に絵を学び、影響を受けた絵師が常陸・奥州に点在していたことが記されています。ここでは、雪洞や雪閑、祖栄といった室町時代に活動した画家や、狩野派や尾形光琳らといった江戸時代の作例から、雪村の画風の広がりを確認し、彼の影響の大きさについて見ていきます。第7章クローン文化財とスーパークローン文化財
雪村は国内外を問わず人気を博しており、海外に渡った作品も少なくありません。当館所蔵の《猿猴図》2幅は、フリーア美術館所蔵の《寿老人図》と合わせて3幅対として伝来していましたが、現在は分かれて所蔵されています。
こうした状況に対し、フリーア美術館が所属するスミソニアン協会、東京芸術大学との共同事業において、原資料と同様の素材を利用したクローン文化財(現状復元)、ならびに製作当初の状況を想定復元したスーパークローン文化財(想定復元)を製作し、フリーア美術館と当館のそれぞれで三幅対が見られるようになりました。本章ではその成果を紹介し、文化財を幅広く活用していく当館の活動を見ていきます。
関連イベント
1講演会
①「雪村はどこからきて、どこへ行ったのか」
日時 | 3月8日(土) 14:00~15:30 |
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講師 | 橋本 慎司 氏(栃木県立美術館副館長兼学芸課長) |
会場 | 茨城県立歴史館 講堂 |
定員 | 150名(当日午前11時より整理券配布、先着順、要入館券) |
②「雪村-「絵画の時代」に生きた人」
日時 | 3月22日(土) 14:00~15:30 |
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講師 | 相澤 正彦 氏(海の見える杜美術館館長・成城大学名誉教授) |
会場 | 茨城県立歴史館 講堂 |
定員 | 150名(当日午前11時より整理券配布、先着順、要入館券) |
2日曜歴史館
「雪村周継の画業と名品の魅力」
日時 | 3月2日(日) 14:00~15:30 |
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講師 | 蔀 政人(当館学芸員) |
会場 | 茨城県立歴史館 講堂 |
定員 | 150名(事前申込優先(当日受付可)、先着順) |
3ギャラリートーク
日時 | 2月24日(月・振)・3月20日(木・祝) 各回共に14:00~15:00 |
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講師 | 蔀 政人(当館学芸員) |
会場 | 茨城県立歴史館 特別展展示室(申込不要、要入館券) |
4ワークショップ
「西ノ内和紙の繊維で絵を描こう!」
日時 | 3月16日(日) 13:30~15:30 |
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協力 | 紙のさと |
会場 | 茨城県立歴史館 講堂 |
定員 | 20名(要事前申込、人数超過の場合抽選) |
対象 | 小・中学生(保護者同伴可) |
参加費 | 1,300円 |
申込期限 | 1月17日(金)8:30~ 2月21日(金)17:00 必着 |
申込方法 | ホームページの申込フォーム、 往復はがき(イベント名、住所、氏名、電話番号) |
コラボ企画
茨城県立歴史館×コロコロコミック
<歴史めちゃわかりクイズラリー>
日時 | 2月15日(土)~4月6日(日)まで ※なくなり次第終了です |
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会場 | 茨城県立歴史館 1階・2階展示室(要入館券) |
対象 | どなたでもご参加いただけます |
今回は2種類のクイズラリーが登場します!
どちらも参加して、歴史館でしか手に入らない激レアステッカーをゲットしよう!
※ステッカーのプレゼントはなくなり次第終了です
雪村クイズラリー
コロコロとコラボした「雪村展」ステッカーをゲット!
コロコロコミックからの挑戦状!歴史めちゃわかりクイズラリー
金色に輝く超激レアステッカーも登場!
どれが当たるかはお楽しみに!!
※「歴史めちゃわかりクイズラリー」では、
お子さまはステッカーくじを2回引くことができます
図録・グッズ
開館50周年記念特別展
「雪村」公式図録
価格:1,500円(税込)
仕様:約250ページ A4
図録・グッズは、<茨城県立歴史館 ミュージアムショップ&カフェ ヒストリア >にてお買い求めいただけます。
音声ガイド・コンテンツ
音声ガイド
無料で利用できる音声ガイド「musenavi」を通じ、展示物の一部について解説を配信しています。
ご来館の際に、ぜひご利用ください。
- ※来場時にご利用いただける音声ガイドです。
- ※アプリをスマートフォンにダウンロードいただく必要はございません。
- ※会場の案内に従いご利用ください。
- ※会場内での通話はご遠慮ください。
動画
今年も、コロコロコミック小学館刊とのコラボを実施中! コロコロチャンネルにて、特別展「雪村」の紹介動画を配信するぞ!公開までしばらくお待ちください!開催概要・アクセス
会期 | 令和7年2月15日(土)~4月6日(日) ※展示替えあり 前期:2月15日(土)~3月9日(日)、後期:3月11日(火)~4月6日(日) |
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会場 | 茨城県立歴史館 1階 第3・4展示室 〒310-0034 茨城県水戸市緑町2-1-15 |
開館時間 | 9時30分~17時00分(入館は16時30分まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合はその翌日) |
入館料 | 一般690円(550円) 満70歳以上350円(280円) ※()内は団体料金 |
入館無料 | ・小・中・高校生・未就学児は無料 ・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、指定難病特定医療費受給者証をお持ちの方と付き添いの方1名は無料 ・満70歳以上の方入館無料日:2月27日(木) |
主催 | 茨城県立歴史館 |
協賛 | |
後援 | NHK⽔⼾放送局/(株)LuckyFM茨城放送/(株)茨城新聞社/読売新聞⽔⼾⽀局/朝⽇新聞⽔⼾総局/毎⽇新聞⽔⼾⽀局/産経新聞社⽔⼾⽀局/東京新聞⽔⼾⽀局/常陸太田市教育委員会/常陸大宮市教育委員会/福島県三春町教育委員会/(⼀社)茨城県観光物産協会/(⼀社)⽔⼾観光コンベンション協会/雪村顕彰会 |
特別協力 | |
助成 | 令和6年度地域ゆかりの文化財資産を活用した展覧会支援事業(文化資源活用事業費補助金)
令和6年度国立博物館収蔵品貸与促進事業
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アクセス ・茨城交通バス(⽔⼾駅北⼝4番のりば)「桜川⻄団地」⾏きなど、偕楽園⽅⾯⾏き乗⾞約10分、「歴史館偕楽園入⼝」下⾞、徒歩2分 ・常磐⾃動⾞道⽔⼾インターから約7km、⾞で15分